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【同人誌レビュー】笑ってる場合ですよ【tito】

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同人漫画「笑ってる場合ですよ」感想とレビュー

全体的な印象:荒廃と希望、そして謎

「笑ってる場合ですよ」は、水没した街を旅する少年とメイドという、一見ありふれた設定ながら、読み進めるうちに引き込まれる魅力的な作品だ。荒廃した世界観でありながら、全体を覆うのはどこかユーモラスで温かい空気感。その空気感を作り出しているのは、主人公である少年とメイドのキャラクター性だろう。

メイドののんきさ加減と、それとは裏腹に匂わされる秘密めいた過去。そして、少年が抱える喪失感と、それでも前を向こうとする強さ。相反する要素が混ざり合い、物語に深みを与えている。絵柄は丁寧で、水没した街並みの描写や、キャラクターの表情が豊かに表現されている。特に、水面や光の表現が美しく、幻想的な雰囲気を醸し出している点は特筆すべきだろう。

ストーリー:ささやかなエールと、隠された真実

物語は、水没した世界を生きる少年が、ある日突然現れたメイドと旅をすることから始まる。目的も告げられず、ただ「笑っていればなんとかなる」とばかりに、のんきに振る舞うメイド。最初は戸惑う少年だったが、共に過ごすうちに、彼女の存在に安らぎを感じ始める。

道中、二人は様々な困難に遭遇する。食料の調達、危険な生物との遭遇、そして、生き残った人々の心の闇。しかし、どんな時でもメイドは笑顔を絶やさない。その笑顔は、少年だけでなく、出会う人々にも希望を与える。

しかし、物語が進むにつれ、メイドの過去が少しずつ明らかになっていく。彼女がなぜこの世界にいるのか、なぜ笑顔を絶やさないのか。そして、彼女が隠している秘密とは一体何なのか。物語は、ささやかなエールを送りながら、同時に、読者に深い謎を投げかける。

キャラクター:対照的ながらも惹かれ合う二人

少年: 少年は、水没した世界で生き残った逞しい少年だ。過去に何かを失ったようで、表情にはどこか憂いが見られる。しかし、メイドとの出会いを通して、徐々に笑顔を取り戻していく。彼は、世界の厳しさを知っているからこそ、他者への優しさを忘れない。

メイド: メイドは、のんきで明るい性格の持ち主だ。常に笑顔を絶やさず、どんな状況でもポジティブに捉える。しかし、その笑顔の裏には、何か深い悲しみを抱えているようにも見える。彼女の過去は謎に包まれており、物語が進むにつれ、その秘密が少しずつ明らかになっていく。

二人は、性格も境遇も全く異なるが、互いに足りないものを補い合い、支え合って生きていく。その関係性は、見ていて微笑ましく、同時に、切ない。

世界観:水没した都市と、生き残った人々のドラマ

作品の舞台は、水没した都市。かつて文明があったことを示す建造物は、水中に沈み、朽ち果てている。人々は、僅かに残された土地や、水上に浮かぶ家々で生活している。

食料や資源は不足しており、生き残るためには、他人を蹴落とすことも厭わない。そんな過酷な状況下でも、人々は助け合い、希望を捨てずに生きている。水没した都市は、美しくも残酷な、希望と絶望が混在する世界だ。

ストーリーの緩急:読者を飽きさせない構成

物語は、日常的なエピソードと、シリアスなエピソードが交互に展開される。日常的なエピソードでは、少年とメイドのユーモラスなやり取りや、道中で出会う人々との交流が描かれる。シリアスなエピソードでは、世界の残酷さや、人々の心の闇が描かれる。

この緩急のある構成が、読者を飽きさせない。笑いあり、涙あり、そして、謎解きあり。様々な要素が詰まった、エンターテイメント性の高い作品だ。

個人的に印象に残ったシーン

特に印象に残ったのは、少年が過去の記憶を語るシーンだ。失った家族への想い、絶望の中で見つけた希望。彼の言葉は、胸に深く突き刺さる。また、メイドが過去を語ろうとするのを、少年が優しく制止するシーンも印象的だ。言葉にしなくても伝わる、二人の絆が感じられる。

総評:希望の光を見出す物語

「笑ってる場合ですよ」は、荒廃した世界を舞台に、少年とメイドが織りなす、希望の物語だ。ユーモラスな会話、美しい風景描写、そして、謎めいたストーリー。様々な魅力が詰まった、読み応えのある作品だ。

特に、現代社会に通じるテーマが込められていると感じた。困難な状況下でも、笑顔を忘れずに、前を向いて生きることの大切さ。この作品は、読者に勇気と希望を与えてくれるだろう。同人作品でありながら、その完成度の高さには驚かされる。多くの人に読んでもらいたい、おすすめの作品だ。

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