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【同人誌レビュー】雪月花12話【Night Battle】

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雪月花12話「ドキドキ!みんなでデート!?」感想レビュー

全体的な印象

グレースケールで描かれた26ページというコンパクトな作品ながら、「雪月花」12話「ドキドキ!みんなでデート!?」は、零花と留輝の関係性を丁寧に、そして可愛らしく描き出している作品だ。進展しない二人の関係に焦燥感を感じつつも、それを無理強いせず、自然な流れで二人の距離を縮めていく凛子の存在が物語を大きく支えている。全体のトーンは明るく、ほのぼのとした雰囲気で、読み終わった後には温かい気持ちになれる、そんな作品だ。

ストーリーの展開

物語は、零花と留輝の関係に進展が見られないことを憂いた凛子が、合同デートを提案するところから始まる。この提案自体が、凛子の零花と留輝への深い愛情と、二人の幸せを願う気持ちの現れとして感じられる。 デートの場所や内容は特に派手ではない。しかし、日常的な場面の中にこそ、零花と留輝の微妙な感情の変化や、二人の間の距離が縮まっていく様子が繊細に描写されている。例えば、食事のシーンでのさりげない気遣い、遊園地でのちょっとしたハプニング、帰り道の静かな会話など、どれもが二人の心の距離を縮める大切な要素となっている。特に印象的だったのは、帰り道、留輝が零花にかけた言葉だ。簡潔ながらも、彼の零花への想いがストレートに伝わってきて、読んでいて胸が締め付けられる思いだった。

デートの描写の巧みさ

合同デートという設定は、二人の関係を直接的に進展させるための王道的なアプローチと言えるだろう。しかし、この作品では、ただ単に二人の仲を急がせるのではなく、自然な流れの中で、二人の感情が少しずつ変化していく様子を描写している点が素晴らしい。 他の登場人物も、物語に彩りを添える重要な役割を果たしている。特に、凛子の存在は、二人の関係を進展させるための触媒としてだけでなく、物語全体を明るく、そして希望に満ちたものへと導いている。彼女自身の零花と留輝への愛情が、読者にもしっかりと伝わってくるのだ。

グレースケールによる表現

本作はグレースケールで描かれている。これは、物語の雰囲気をより一層引き立てていると言えるだろう。色彩がない分、読者はキャラクターの表情や仕草、背景の描写などに意識を集中させることになる。そのため、キャラクターの感情の機微や、二人の間の微妙な空気感などがより深く伝わってくる。特に、零花と留輝の心の変化を繊細に描写するのに、グレースケールの表現は非常に効果的であると感じる。もしこれがカラーで描かれていたら、このような繊細な描写は、ここまで効果的に表現できなかっただろう。

キャラクターの魅力

零花の魅力

零花は、控えめで、少し内向的な性格だが、その分、彼女の心の奥底に秘めた感情がより一層輝いて見える。 デート中、表情の変化や言葉少なな会話の中にも、留輝に対する彼女の想いが滲み出ており、読者である私も彼女を応援したくなった。 また、凛子や他の登場人物とのやり取りを通して、彼女の素直な一面や、意外な一面も見ることができ、キャラクターの魅力がより一層増している。

留輝の魅力

留輝は、一見クールで無口なキャラクターだが、零花に対しては、優しさや気遣いを見せる場面が多く見られる。 言葉ではなく、行動で示される彼の想いは、零花だけでなく、読者である私にも深く響くものがあった。 デートの終盤、零花にかけた言葉は、彼の真摯な気持ちを表しており、彼のキャラクターの魅力を象徴するようなシーンだった。

凛子の魅力

凛子は、物語の重要な役割を担う、頼もしい存在だ。零花と留輝の関係に進展が見られないことに焦燥感を感じながらも、二人の関係を無理強いすることなく、自然な流れで二人の仲を縮めていく彼女の行動は、まさに理想的な友人像と言えるだろう。彼女の行動は、物語に温かい空気感と、希望を与えてくれる。

総評

「雪月花12話」は、26ページという短いながらも、零花と留輝の二人の関係性が丁寧に描かれており、非常に満足度の高い作品だ。グレースケールという表現方法も物語の世界観に合致しており、キャラクターの感情をより深く感じ取ることができた。 ほのぼのとした雰囲気の中にも、二人の揺れる感情や、二人の関係が少しずつ進展していく過程が繊細に描かれており、読み終わった後には心温まる余韻が残る。 零花と留輝の今後の展開も気になるところであり、この作品をきっかけに、このカップリングにさらに興味を持った。 同人作品としてのクオリティの高さと、作者の丁寧な描写に感銘を受けた、素晴らしい作品だ。 多くの人に読んでほしいと思う。

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