







同人漫画「Fa◯e充するセイバーさん3」感想とレビュー
はじめに
この同人漫画「Fa◯e充するセイバーさん3」は、人気ゲーム「Fate/Grand Order」(以下FGO)を題材とした、セイバーを主人公としたギャグ作品だ。FGOというコンテンツ自体が多くのファンを抱えているため、その二次創作も数多く存在する。しかし、本作は単なるパロディに留まらず、セイバーというキャラクターの魅力を最大限に引き出し、FGOプレイヤーなら誰もが共感できるような、笑いと共感を誘う作品となっている。
内容について
FGOで遊ぶセイバーさんシリーズの進化
収録されているのは、既刊の「FGOで遊ぶセイバーさん」シリーズの9巻から13巻と、描き下ろしの「モルガンさんにFGOを遊ばせたい」。既刊シリーズは、セイバーさんがFGOのガチャに一喜一憂したり、イベントに奔走したり、時には課金衝動に駆られたりする様子をコミカルに描いている。
特筆すべきは、巻を重ねるごとに、FGOというゲームシステムに対する理解度が深まっていることだ。初期の頃は、単に「ガチャが渋い」「イベントが大変」といった、ライトユーザーが抱きがちな感情が中心だった。しかし、本作では、より深くゲームシステムに踏み込み、攻略法や効率的な周回方法、果てはゲームバランスに対する考察まで盛り込まれている。
例えば、「このサーヴァントのスキル構成は、特定のクエストで非常に有効だ」「この概念礼装を装備すれば、周回効率が格段に上がる」といった具体的な情報が、ギャグの中に自然に織り交ぜられている。これは、作者自身が相当なFGOプレイヤーであることを示唆しているだろう。
モルガンさんにFGOを遊ばせたい
描き下ろしの「モルガンさんにFGOを遊ばせたい」は、シリーズの新たな試みだ。これまで、セイバーを中心とした物語が展開されてきたが、今回は、FGOに登場する人気キャラクター、モルガンをメインに据えている。
モルガンは、アーサー王伝説における敵役であり、FGOでも強大な力を持つサーヴァントとして登場する。その冷酷で傲慢な性格が、FGOというゲームとどのように絡み合っていくのか、非常に興味深い。
本作では、モルガンがFGOの世界に戸惑いながらも、その圧倒的な力でゲームを攻略していく様子が描かれている。特に、ガチャで狙ったサーヴァントを確実に引き当てるシーンは、モルガンの強さを象徴していると言えるだろう。
公式イラストの掲載
さらに、作者がFGO本編で担当した概念礼装や劇場版の公式イラストも掲載されている。これは、ファンにとって非常に嬉しいサプライズだ。作者の画力が非常に高いことは、これらの公式イラストからも明らかだ。
同人作品でありながら、プロのイラストレーターとしての実力も垣間見ることができるという点も、本作の魅力の一つだ。
キャラクターについて
セイバーの魅力
本作の主人公であるセイバーは、Fateシリーズを代表するキャラクターの一人だ。騎士王としての威厳と、少女のような可愛らしさを併せ持つ彼女は、多くのファンを魅了してきた。
本作では、そんなセイバーが、現代社会に生きる一人のゲーマーとして描かれている。FGOに夢中になり、ガチャに一喜一憂し、イベントに奔走する姿は、私たち自身の姿と重なる部分も多いはずだ。
しかし、セイバーはただのゲーマーではない。彼女は、騎士王としての誇りを持ち、どんな困難にも立ち向かう強さを持っている。たとえガチャで爆死したとしても、彼女は決して諦めない。その姿は、私たちに勇気を与えてくれる。
モルガンの新たな一面
「モルガンさんにFGOを遊ばせたい」でメインキャラクターを務めるモルガンは、FGOでは敵役として登場することが多い。しかし、本作では、彼女の新たな一面が描かれている。
FGOの世界に戸惑い、時には失敗しながらも、ゲームを楽しもうとするモルガンの姿は、これまでのイメージとは異なる、人間味あふれるものだ。
表現について
ギャグセンス
本作の最大の魅力は、そのギャグセンスにある。FGOプレイヤーなら誰もが共感できるネタを、絶妙なタイミングで繰り出してくる。
例えば、ガチャで爆死した時の絶望感や、イベント周回に疲れた時の倦怠感など、FGOプレイヤーなら誰もが経験したことのある感情を、コミカルに表現している。
また、登場キャラクターたちの掛け合いも面白い。セイバーと他のサーヴァントたちの軽妙な会話は、読者を飽きさせない。
作画
作画に関しても、非常にレベルが高い。キャラクターの表情や動きが豊かで、見ていて飽きない。特に、セイバーの可愛らしさは、本作の見どころの一つだ。
また、FGOのゲーム画面やサーヴァントのイラストも、忠実に再現されている。作者のFGOに対する愛が感じられる。
まとめ
「Fa◯e充するセイバーさん3」は、FGOファンなら絶対に楽しめる作品だ。セイバーというキャラクターの魅力を最大限に引き出し、FGOプレイヤーなら誰もが共感できるような、笑いと共感を誘う作品となっている。
特に、FGOのゲームシステムに対する深い理解と、ギャグセンスの高さは、他のFGO二次創作作品とは一線を画している。また、公式イラストの掲載も、ファンにとっては嬉しいサプライズだ。
FGOをプレイしている人はもちろん、Fateシリーズが好きな人にもおすすめできる作品だ。きっと、セイバーの可愛らしさと、FGOの面白さにハマってしまうだろう。