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【同人誌レビュー】relation【あんこストロベリー】

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relation:触れる温もりと、静かに響く感情

コミケ89発行の「relation」。妹紅とリグルの4編からなるもこもこした温かい雰囲気の漫画だ。各編が独立した短い物語でありながら、全体を通して二人の関係性が丁寧に紡がれており、読み終えた後にはじんわりと心に温かいものが残る、そんな作品だった。

それぞれの物語が織りなす、二人の距離感

第一話:「春色の約束」

春の訪れを告げる柔らかな日差しの中、二人で過ごすひとときを描いた作品だ。桜の散る様子や、春の芽吹きといった季節の描写が細かく、繊細なタッチで描かれていて、見ているだけで心が安らぐ。会話のやり取りも自然で、二人の間の微妙な距離感や、互いを気遣う気持ちが丁寧に表現されている。特に、リグルの少し照れたような表情が印象的で、彼女の内面にある妹紅への想いが垣間見えるようだった。春の柔らかな空気感と、二人の心の機微が美しく融合した、心温まる一編だ。

第二話:「夏の日の記憶」

夏の暑い日差しの中、二人はとある祭りに出かける。賑やかな祭りの雰囲気と、二人の静かな会話のコントラストが印象的だ。祭りで食べたかき氷や、花火の音といった五感を刺激する描写が豊富で、まるで自分がその場に居合わせているかのような臨場感がある。この作品では、妹紅の意外な一面や、リグルの素直な感情がより鮮やかに描かれていた。二人の距離が、夏の暑さのように、少しだけ近づいているような気がした。

第三話:「秋の静寂」

秋風が吹き抜ける静かな森の中で、二人だけの時間が流れる。紅葉の美しい情景と、二人の落ち着いた会話が、秋の静寂の中に溶け込んでいる。この作品は、二人の関係性が最も深く描かれていると感じた。言葉にならない感情や、互いの存在の大きさが、静かに、しかし力強く表現されている。特に、終盤の妹紅の表情は、言葉では言い表せないほどの深みがあり、読者の心に深く突き刺さるものがあった。紅葉の赤と、二人の静かな感情が、美しく、そして切なく混ざり合う一編だ。

第四話:「冬の温もり」

雪の降る寒い冬、二人で過ごす温かい室内。暖炉の火の温かさ、温かい飲み物、そして二人の寄り添う姿。この作品は、これまでの三編の積み重ねが結実したような、二人の関係性の集大成と言えるだろう。言葉ではなく、寄り添うことで、見つめ合うことで、二人の温かい感情が伝わってくる。静かな空間の中で、二人の間に流れる静かな愛情が、見ている者の心を穏やかに満たしてくれる。雪景色の中、二人の温もりだけが際立つ、心温まるラストシーンだった。

全体を通して

「relation」は、単なる萌え絵集ではなく、二人の関係性を丁寧に描いた、繊細で美しい作品だ。それぞれの季節を舞台にした4つの物語は、独立しながらも全体で一つの物語を構成している。各編の短い尺ながら、妹紅とリグルの感情の揺らぎ、二人の距離感の変化、そして最終的にたどり着く温かい関係性がしっかりと描かれていて、読み応えがある。絵柄は柔らかく、温かみのあるタッチで、キャラクターの表情や仕草が生き生きと描かれており、見ているだけで心が癒される。特に、季節感を表現する描写は素晴らしく、まるで自分がその場にいるかのような錯覚に陥るほどだ。

作者の妹紅とリグルへの深い愛情が感じられる作品であり、彼らの関係性をより深く理解し、愛せる作品になっている。

最後に

「relation」は、ただ可愛い二人を見せるだけでなく、二人の関係性の変化、そして心の機微を丁寧に描き、読者に深い感動を与えてくれる作品だ。妹紅とリグルのファンはもちろん、繊細で美しい物語が好きな方にも強くお勧めしたい。季節の移ろいを感じながら、二人の温かい関係性を堪能できる、そんな素敵な一冊だ。 この漫画を読んで、二人の関係性がより好きになった、そう感じさせる、そんな力を持った作品だった。 読み終わった後には、優しい余韻が長く心に残るだろう。 素晴らしい作品に出会えたことに感謝したい。

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