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【同人誌レビュー】ラグナ=ザ=ブ○ッドエッジが朝おんする本EXTEND【推伸亭】

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終焉の戦士が迎える朝の温もり:『ラグナ=ザ=ブ○ッドエッジが朝おんする本EXTEND』レビュー

アークシステムワークスが手掛ける大人気格闘ゲームシリーズ『BLAZBLUE』(ブレイブルー)の主人公、ラグナ=ザ=ブラッドエッジ。彼は世界を破滅から救うため、壮絶な運命と戦い続けてきた、孤独で不器用な「死神」である。その彼が、もしも戦いのない穏やかな日常を送り、誰かと共に目覚める朝があったなら――。推伸亭が贈る同人漫画シリーズ『ラグナ=ザ=ブ○ッドエッジが朝おんする本EXTEND』は、そんな多くのファンが夢見たであろう「IF」の世界を、温かい視線で描いた珠玉の一冊である。

本作は、過去に発表された「ラグナ=ザ=ブ○ッドエッジが朝おんする本」「同2」「同3」の3冊に修正を加え、さらに描きおろし追加ページとおまけの「EXTEND編」を収録した、まさにシリーズの集大成とも言うべき総集編だ。原作のシリアスな世界観とは一線を画し、ラグナが朝を迎える様々なシチュエーションを描くことで、彼の新たな魅力を引き出している。ここには、戦場の悲壮感は微塵もなく、ただただ穏やかで、時に甘酸っぱく、時にコミカルな日常が広がっているのだ。

シリーズ総集編としての魅力とコンセプト

『ラグナ=ザ=ブ○ッドエッジが朝おんする本EXTEND』の最大の魅力は、やはり「総集編」である点にある。単なる過去作の再録ではなく、修正が加えられ、さらに新規描きおろしが追加されていることで、シリーズ全体を通して一つの物語を追体験できる完成度の高さがある。作者の作品への愛情と、キャラクターへの深い理解が感じられる構成だ。

このシリーズが一貫して描くテーマは、まさにタイトルが示す通り「ラグナの朝」である。原作では常に血と硝煙にまみれた戦場に身を置き、休息すらままならない日々を送ってきたラグナが、誰かの隣で目覚め、穏やかな朝の時間を過ごす。その情景は、ファンにとって何よりのご褒美であり、癒しであると言えるだろう。普段はツンケンしているラグナが、寝起き特有の隙を見せたり、相手にデレたりする姿は、原作ではまず見られない彼の人間的な魅力を存分に引き出している。

日常の中で輝くキャラクター性

『BLAZBLUE』のラグナは、世界を救うという使命を背負い、自身の存在意義に苦悩する、非常にストイックで孤独なキャラクターだ。しかし、このシリーズでは、その重い設定から解き放たれ、一人の男性として、あるいは一人の人間として、等身大の感情を見せる。起床の風景、朝食の準備、たわいもない会話、そして時には甘い雰囲気。これらの日常の描写を通じて、ラグナの不器用な優しさや、素直になれない愛情、そして意外な一面が丁寧に描かれている。

また、彼を取り巻くキャラクターたちとの関係性も、本作の見どころの一つである。誰と「朝おん」を迎えるのかによって、ラグナの表情や反応は様々に変化し、それぞれの相手との独特なケミストリーが生まれる。それが単なる萌えに留まらず、キャラクターの解釈の幅を広げ、原作ファンに新たな発見と感動を与えているのだ。戦いとは無縁の場所で、彼らが織りなす等身大のドラマは、読者の心に温かい光を灯してくれるだろう。

各巻が紡ぐ「朝」の物語

総集編である本作は、それぞれ異なるテーマやシチュエーションでラグナの「朝」を描いた過去3作を収録している。各巻が持つ独特の雰囲気と、ラグナの心の変化を順に追っていくことは、シリーズの魅力を深く味わう上で不可欠だ。

第一章:始まりの「朝おん」

シリーズ第一作「ラグナ=ザ=ブ○ッドエッジが朝おんする本」は、このコンセプトの出発点であり、多くのファンに衝撃と喜びを与えた作品である。ここでは、ラグナが誰かと共に目覚める、そのまさに「朝」の情景が描かれる。原作では決して見せることのない、寝起きの緩んだ表情、少し恥ずかしがる仕草、そして何気ない会話の中に滲み出る優しさが、読者の心を鷲掴みにする。

不器用な優しさとデレの兆候 この巻では、まだ「朝おん」というシチュエーションに慣れていないラグナの戸惑いや、それに反して溢れ出る温かさが描かれている。普段は「邪魔だ」「うざったい」といった言葉を使いがちな彼が、目覚めた瞬間の親密な距離感の中で、相手を気遣う言動を見せるのだ。そのギャップが何よりも愛おしく、彼の不器用ながらも深い愛情を感じさせる。まるで子供のように布団にくるまって、なかなか起き上がれない姿や、相手に甘えるような仕草は、原作ファンにとっては垂涎ものだろう。

初期衝動と新鮮な驚き シリーズの最初期ということもあり、この作品には「ラグナがこんな顔を見せるなんて!」という新鮮な驚きが詰まっている。格闘ゲームの主人公という枠を超え、一人の人間としてのラグナの魅力が、この「朝」という日常的な切り口から鮮やかに表現されているのだ。修正が加えられたことで、さらに細やかな表情や背景の描写が洗練され、初めて読む読者も、すでに読んだ読者も、新たな発見があるはずだ。

第二章:深まる絆と日常の風景

続く「ラグナ=ザ=ブ○ッドエッジが朝おんする本2」では、第一作で描かれた関係性が一歩進んだ、より深化した日常の風景が描かれる。ここでは、単に目覚めるだけでなく、朝食の準備や、一緒に過ごす時間など、具体的な生活の描写が増え、二人の絆がより強固になっていることが感じられる。

共同生活のリアリティと甘さ この巻の魅力は、共同生活を送っているかのようなリアリティにある。ラグナが相手のために朝食を作ろうとしたり(結果はいつも通りかもしれないが)、一緒に食卓を囲んだりするシーンは、彼の不生活なイメージを払拭し、温かい家庭を築こうとする一面を描いている。また、相手との間に自然と生まれるスキンシップや、より砕けた会話の応酬は、二人の関係が精神的にも肉体的にも深まっていることを示唆している。

コメディ要素の深化 ラグナの料理下手など、原作でも描かれていたコミカルな要素が、この巻では日常の中に自然に溶け込んでいる。シリアスな戦いから解放された彼の、本来持つであろう人間的な面白さが引き出されているのだ。相手に振り回されながらも、どこか満たされているラグナの表情は、読者に安心感と笑いを提供してくれる。ただ甘いだけでなく、クスッと笑えるような要素が加わることで、作品全体のバランスが非常に良くなっていると言えるだろう。

第三章:確立された関係性と未来への示唆

そして「ラグナ=ザ=ブ○ッドエッジが朝おんする本3」は、これまでのシリーズで築き上げられてきた関係性が、完全に確立された状態を描いている。もはや特別なことではなくなった「朝おん」の情景は、二人の間に確かな信頼と愛情があることを強く感じさせる。

安定と安らぎの表現 この巻では、二人の関係が「当たり前」の日常として描かれることで、より深い安らぎと幸福感が表現されている。ラグナのツンデレも健在ではあるが、その根底には揺るぎない愛情と、相手への信頼が見て取れる。安心しきった表情で眠るラグナや、相手に素直に甘えるような仕草は、彼がどれだけこの「日常」を求めていたかを示しているようだ。

キャラクターの成長と変化 シリーズを通してラグナの成長が感じられるのも、この巻のポイントだ。過去の作品では見られなかったような、相手に対する献身的な姿勢や、積極的に愛情を示す姿は、彼がこの関係を通じて、人間的に大きく変化したことを示唆している。まるで原作の戦いを終え、本当に幸せを見つけた後のラグナの姿を見ているかのような感覚になるだろう。最終巻にふさわしい、満足度の高い締めくくりとなっている。

描きおろしとEXTEND編:ファンへの最高の贈り物

総集編の醍醐味である描きおろしと「EXTEND編」は、この作品の価値をさらに高めている。これらは単なるおまけではなく、シリーズの締めくくりとして、あるいは未来への示唆として、非常に重要な意味を持っている。

シリーズ完結を飾る新規ページ

描きおろしページは、これまでの物語を補完したり、キャラクターたちの新たな一面を描いたりすることで、読者にさらなる喜びを提供する。過去作を読んだファンにとっては、キャラクターたちの「その後」や、本編では語られなかったエピソードに触れることができる貴重な機会だ。これらの追加ページによって、物語全体の奥行きが増し、キャラクターたちの魅力がより一層引き出されている。

特に、修正が加えられたことによって、全体の整合性が高まり、絵柄の統一感も増している点は評価できる。作者の成長と、シリーズへの熱意が、この新規ページからも強く伝わってくるのだ。

「EXTEND編」が示す未来

そして、本作のタイトルにも冠されている「EXTEND編」は、シリーズの集大成として、そして未来への希望を示す特別なエピソードであると言える。これは、これまでのラグナの戦いや日常、そして彼が築き上げた絆の先に何があるのかを、読者に示唆してくれる。

「EXTEND」という言葉が持つ「拡張」「延長」という意味は、ラグナの幸せな日常が今後も続いていくこと、そして彼らの関係性がさらに発展していくことを暗示しているようだ。これまで描かれてきた「朝おん」が、彼らにとってどれほど重要でかけがえのないものになったかを改めて感じさせ、読者に温かい余韻を残してくれる。この章は、作品全体のメッセージ性を凝縮した、まさにファンへの最高の贈り物だ。

作画と表現の妙

推伸亭氏の描く作画は、キャラクターの魅力を最大限に引き出しつつ、親しみやすく、それでいて非常に繊細だ。『BLAZBLUE』のキャラクターデザインをリスペクトしつつも、自身のタッチでラグナの様々な表情を豊かに表現している。

特に、寝起きのラグナの少し崩れた髪や、眠たげな目、照れた時の表情の変化などは秀逸である。普段の鋭い眼光や険しい表情からは想像もつかないような、可愛らしい一面や、人間味溢れる一面が、鮮やかな筆致で描かれている。また、背景や小物といったディテールにもこだわりが感じられ、描かれる日常の風景に温かみとリアリティを与えている。

「朝おん」というテーマを扱いつつも、露骨な表現に走ることなく、あくまでキャラクター間の感情や関係性の機微を描くことに重点が置かれている点も素晴らしい。品がありながらも、甘さや親密さがしっかりと伝わる絶妙なバランスは、作者の高い表現力とキャラクターへの愛情の証だろう。ギャグとシリアス、そして甘い雰囲気が見事に融合し、読者を飽きさせない構成力も特筆すべき点だ。

ラグナ=ザ=ブラッドエッジというキャラクターへの深い愛

このシリーズを通して感じるのは、作者のラグナ=ザ=ブラッドエッジというキャラクターへの尋常ではない深い愛と理解である。原作の壮絶な戦いの中で彼が見せてきた、不器用さ、優しさ、そして孤独。それらの要素を全て踏まえた上で、「もしも彼が報われる世界があったなら」という夢を具現化している。

ラグナの真の魅力を引き出すのは、決して派手なバトルシーンだけではない。ふとした瞬間に見せる人間的な弱さや、誰かに寄り添うことで得られる安らぎ、そして何よりも、彼が抱える孤独が癒やされていく過程こそが、彼のキャラクターをより深く、魅力的にしているのだ。この作品は、そうしたラグナの隠された内面を優しく掘り下げ、彼に新たな光を当てている。

原作ファンにとっては、長きにわたる戦いを終えたラグナが、ようやく手に入れたであろう幸せな日常を垣間見るような感覚に陥るだろう。それは、単なる二次創作を超えて、キャラクターへの深い共感と、彼への幸福を願う切なる思いが込められているように感じられる。

総評:戦いを超えた「幸福」を願う、至高の一冊

『ラグナ=ザ=ブ○ッドエッジが朝おんする本EXTEND』は、『BLAZBLUE』の主人公ラグナ=ザ=ブラッドエッジというキャラクターが持つ多面的な魅力を、「朝」という日常的な切り口から深く掘り下げた、非常に完成度の高い同人漫画シリーズである。シリアスな原作の世界観からは想像もできない、温かく、甘く、そして時にコミカルな彼の日常は、読者に大きな癒しと感動を与えてくれる。

総集編として、過去作の修正と新規描きおろし、そして「EXTEND編」が加わったことで、シリーズ全体の物語性やキャラクターの成長を一本の軸で追うことができるようになった。作画のクオリティ、キャラクター描写の深さ、そしてテーマに対する繊細なアプローチは、同人誌という枠を超えた、一つの作品としての完成度を誇っていると言えるだろう。

この作品は、原作『BLAZBLUE』のファンであれば、誰もが抱いたであろう「ラグナに幸せになってほしい」という願いを、具体的な形で示してくれた至高の一冊だ。彼の不器用な優しさや、普段は決して見せないデレた表情に心ときめくこと間違いなしである。戦いを終えた死神が迎える穏やかな朝の風景は、読者の心にも温かい光を灯し、深い満足感を与えてくれるはずだ。

もしあなたがラグナ=ザ=ブラッドエッジというキャラクターに魅せられ、彼の幸福を願ってやまないのであれば、この『ラグナ=ザ=ブ○ッドエッジが朝おんする本EXTEND』は、まさに必読の書である。彼が戦いを終え、温かい日常の中で見せる最高の笑顔を、ぜひその目で確かめてほしい。

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