










同人漫画『最狂超プロレスファン烈伝2』感想レビュー:熱狂の時代を駆け抜けたファンたちの肖像
『最狂超プロレスファン烈伝2』は、90年代プロレス多団体時代を舞台に、プロレスへの愛を爆発させたファンたちの生き様を描いた熱い漫画だ。単なるプロレス知識の羅列に終わらず、ファン心理の深層をえぐり出し、読者の共感を呼ぶ。プロレスファンはもちろん、何かに熱中した経験を持つ人なら、きっと心に響くものがあるだろう。
熱狂を追体験する追体験
本作の魅力は、何と言っても当時のプロレスシーンの熱気を追体験できる点にある。新日本プロレス、全日本プロレス、UWFインターナショナルなど、個性豊かな団体がしのぎを削り、それぞれに熱狂的なファンが存在した時代。漫画には、それぞれの団体を応援するファンの姿が生き生きと描かれている。
バービックごっこ、田中社長、ギブアップまで待てない、森本レオ、前田が負けた、衛星放送用衛星をブッ壊す、北尾ファンの上山決太、超獣忌、国技普及委員会など、当時のプロレスファンならニヤリとするであろうネタが満載だ。これらのエピソードは、単なる懐古趣味に終わらず、当時のプロレスシーンの熱狂と混沌を鮮やかに蘇らせる。
特に印象的なのは、「あの挌闘ゲームソフトでプログラムされていない筈のアキレス腱固めを出す!」というエピソードだ。これは、当時の格闘ゲームにおける隠し技やバグ技の発見に、プロレス技が絡んでいたという、コアなプロレスファンならではの体験を描いたものだろう。このような細部にまでこだわった描写が、作品のリアリティを高めている。
ファン心理のリアルな描写
本作は、単なるプロレスネタの詰め合わせではない。プロレスファンたちの熱狂、葛藤、喜び、悲しみなど、複雑な感情を丁寧に描写している。特定のレスラーや団体を熱烈に応援するあまり、他の団体やファンと対立したり、試合結果に一喜一憂したり、時には過激な行動に走ったりするファンの姿は、決して他人事ではない。
作者は、プロレスファンという存在を客観的に捉えつつも、その情熱に深い理解を示している。だからこそ、読者は、登場人物たちの行動に共感したり、感情移入したりできるのだ。プロレスファンでなくとも、「何か」に熱中した経験を持つ人なら、登場人物たちの心情が痛いほど理解できるだろう。
まんだらけ版付録「Uインター1億円トーナメント」騒動外伝
まんだらけ版に収録されている「Uインター1億円トーナメント」騒動を題材にした外伝も、見逃せない。UWFインターナショナルが開催したこのトーナメントは、当時大きな話題を呼んだが、様々な問題も抱えていた。外伝では、この騒動を、ファン側の視点からコミカルに描いている。
トーナメントの裏側で何が起きていたのか、ファンたちはどのように感じていたのか。外伝は、本編とはまた違った角度から、当時のプロレスシーンを浮き彫りにする。
構成の巧みさ
本作は、複数のエピソードをオムニバス形式で構成している。それぞれのエピソードは独立しているが、全体として、90年代プロレス多団体時代の熱狂と混沌を鮮やかに描き出している。
各エピソードの主人公は、異なる団体を応援する様々な立場のファンだ。彼らの視点を通して、当時のプロレスシーンの多様性や、ファンコミュニティの複雑さを知ることができる。
絵柄と表現
絵柄は、決して美麗とは言えないが、登場人物たちの表情や感情を豊かに表現している。特に、試合中のレスラーの迫力や、ファンの熱狂ぶりを描写する場面では、作者の熱意が伝わってくる。
ギャグシーンも多く、シリアスな展開との緩急が、作品全体のテンポを良くしている。プロレスネタを盛り込んだギャグは、プロレスファンなら爆笑必至だ。
まとめ:プロレスファン必読、そして熱狂を知る全ての人へ
『最狂超プロレスファン烈伝2』は、90年代プロレス多団体時代を舞台に、プロレスへの愛を爆発させたファンたちの生き様を描いた熱い漫画だ。当時のプロレスシーンの熱気を追体験できるだけでなく、ファン心理の深層をえぐり出し、読者の共感を呼ぶ。
プロレスファンはもちろん、何かに熱中した経験を持つ人なら、きっと心に響くものがあるだろう。あの頃の熱狂をもう一度味わいたい人、そして、熱狂を知る全ての人におすすめしたい一冊だ。
総合評価:★★★★☆
- プロレスファン度:★★★★★
- 熱狂度:★★★★★
- ファン心理描写:★★★★☆
- 絵柄:★★★☆☆
- ギャグ:★★★★☆