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【同人誌レビュー】彼の踝【のはら漫画屋】

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同人漫画「彼の踝」レビュー:少年たちの揺れ動く感情の機微

この作品「彼の踝」は、同性の友人に抱く感情に戸惑う高校生たちの物語だ。薔薇族に掲載された過去の作品を再録し、それぞれの視点から物語を描くという構成が、単なるボーイズラブ作品とは一線を画す深みを生み出している。

物語の構成:二つの視点が生み出す奥行き

「彼の踝」と「ツヨシの背骨」は、同じ出来事を強と淳史、それぞれの視点から描いた作品だ。同じ時間、同じ会話を通じて、二人が何を考え、何を感じているのかが鮮やかに浮かび上がる。特に秀逸なのは、相手への感情に気づきながらも、それを言葉にできない、もどかしい心情が丁寧に描写されている点だ。

物語は、強が淳史の踝に性的な魅力を感じるところから始まる。一方、淳史は強の背骨に、守りたい、触れたいという愛情とも友情とも言えない感情を抱く。この感情のずれと、お互いを意識し始める過程が、二つの視点によってより複雑に、そしてリアルに表現されている。

感情の機微:言葉にできない想い

本作の魅力は、少年たちの繊細な感情の機微を描き出している点にある。恋愛という言葉で簡単に片付けられない、複雑な感情が、二人の表情や仕草、そして独白を通して丁寧に表現されている。

例えば、強が淳史の踝を見るシーンでは、彼の戸惑いや興奮が、細かな描写によって読者に伝わる。また、淳史が強の背骨に触れたいと思いながらも、その衝動を抑える場面では、彼の葛藤や優しさが感じられる。

二人の間には、明確な言葉による告白はない。しかし、些細な言葉や行動から、お互いを大切に思い、特別な感情を抱いていることが伝わってくる。読者は、二人の心の距離が少しずつ縮まっていく様子を、息をのんで見守ることになるだろう。

1997年版と2004年版:作画の変化と当時の空気感

本作には、1997年版と2004年版の二つのバージョンが収録されている。2004年版は1997年版を新たに作画し直したものであり、絵柄の変化を楽しむことができる。

1997年版は、月刊「薔薇族」掲載時のページをスキャンしたものが収録されており、当時の紙の色を再現している。少しレトロな雰囲気が漂い、作品に独特の趣を与えている。一方、2004年版は、より洗練された絵柄で、物語をより鮮やかに表現している。

薔薇族という媒体:時代を反映した表現

本作が掲載された「薔薇族」は、1971年に創刊されたゲイ雑誌であり、当時の社会におけるセクシュアリティに関するタブーに挑戦した先駆的な存在だ。本作もまた、同性愛というテーマを扱いながらも、露骨な表現を避け、少年たちの心の葛藤を丁寧に描いている。

R18要素が含まれていないことも、本作の特徴の一つだ。作者は、性的な描写に頼ることなく、感情の機微を描くことに重点を置いている。これにより、読者は、二人の関係性をより深く理解し、共感することができる。

結論:読後感を残す、繊細な物語

「彼の踝」は、同性の友人に抱く感情に戸惑う少年たちの物語を、繊細なタッチで描いた作品だ。二つの視点から物語を語る構成や、言葉にできない感情の機微の描写など、多くの魅力が詰まっている。露骨な性描写はないものの、二人の関係性から目が離せず、読後には静かな感動が残るだろう。

特に、かつて「薔薇族」を読んでいた層にとっては、懐かしさを感じさせる作品でもある。時代の空気を感じながら、少年たちの心の葛藤に共感できる、普遍的な物語だと言えるだろう。

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